帯状疱疹は、過去にかかった水痘(水ぼうそう)ウィルスが神経節に潜伏し、免疫力が低下した際に再活性化して発症するものです。身体の左右どちらかの皮膚に帯状に広がる水疱が特徴ですが、重症化すると後遺症(帯状疱疹後神経痛)が残ったり、また顔面に発症した場合には顔面神経麻痺や難聴、めまいなどの合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。
帯状疱疹発症後に抗ウィルス薬を投与することで治癒を促進することはできますが、治療開始が遅れると重症化するリスクが高くなります。したがって帯状疱疹の発症あるいは重症化予防のためには、日ごろから免疫力を高めておくことが必要であり、ワクチン接種は、高齢者にとって意義ある対策になると思われます。
コロナ禍以後、帯状疱疹の患者が増加傾向との報告もありますが、このたび2025年4月1日より、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種の対象となりました。対象は65歳以上となりますが、この機会に接種をご検討いただければと考えます。
接種の対象者
- 当該年度に65歳を迎える方
- 60~64歳で対象となる方(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)
- 2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳となる方も対象となります(100歳以上の方は2025年度に限り全員対象)。
- 注:対象者には住民登録のある自治体より連絡があります。ご不明の点は自治体にお問い合わせください。
なお定期接種該当者については、接種費用の補助があります。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。
使用するワクチンとそのスケジュール
帯状疱疹ワクチンには生ワクチン、組換えワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。
・生ワクチン
皮下に1回接種。
・組換えワクチン
2か月以上の間隔をあけて2回筋肉内に接種。
病気や治療により、免疫の機能が低下したまたは低下する可能性がある方等は、医師が早期の接種が必要と判断した場合、接種間隔を1か月まで短縮可能。
ワクチンの効果(厚労省HPから抜粋)
いずれのワクチンも、帯状疱疹やその合併症に対する予防効果が認められています。
帯状疱疹に対する効果 | 生ワクチン | 組換えワクチン |
---|---|---|
接種後1年時点 | 6割程度の予防効果 | 9割以上の予防効果 |
接種後5年時点 | 4割程度の予防効果 | 9割程度の予防効果 |
接種後10年時点 | ― | 7割程度の予防効果 |
ワクチンの安全性(厚労省HPから抜粋)
ワクチンを接種後に以下のような副反応がみられることがあります。
頻度は不明ですが、生ワクチンについては、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎が、組換えワクチンについては、ショック、アナフィラキシーがみられることがあります。
主な副反応の発現割合 | 生ワクチン | 組換えワクチン |
---|---|---|
70%以上 | ― | 疼痛* |
30%以上 | 発赤* | 発赤*、筋肉痛、疲労 |
10%以上 | そう痒感*、熱感*、腫脹*、疼痛*、硬結* | 頭痛、腫脹*、悪寒、発熱、胃腸症状 |
1%以上 | 発疹、倦怠感 | そう痒感*、倦怠感、その他の疼痛 |
当院の対応
当院では、以下の価格で帯状疱疹ワクチンをご用意しています。ご検討をお願いします。
・生ワクチン:1回あたり7700円(ひたちなか市は補助が3000円)
・組換えワクチン(シングリックスⓇ):1回あたり22000円(ひたちなか市は1回あたり補助が6000円。こちらは2回接種が必要。)