当外来の対象となる患者様

①動悸や眠気、倦怠感などの体調不良が続いている方
②採血や画像診断など、通常の検査では原因が特定できない方
③ストレスで悩まされている方
④心療内科や精神科の病気を心配している方

注:自律神経失調症というと、脳の病気でないかと勘違いされている方も多いと思われますが、自律神経機能は末梢神経とそれに係る各臓器の問題であり、中枢神経である脳の問題とは区別されることにご留意ください。

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A. 自律神経とは

自律神経は、体の自動的な機能を制御する神経系の一部です。自律神経は、意識的に制御することができない身体機能を調節します。これには、心臓の動き、血圧、消化器官の運動、呼吸、体温などが含まれます。自律神経は、外部環境や体内の状態に応じてこれらの機能を調整し、体の内部環境を恒常性を維持する役割を果たしています。

自律神経は、主に交感神経系と副交感神経系に分かれています。これらの神経系は、相反する効果を持ち、体の機能をバランス良く調整します。

交感神経系は、身体の活動を活性化し、ストレス反応時に優先的に働きます。例えば、心拍数の増加、血圧の上昇、血糖値の上昇、血流の増加などの反応があります。また、交感神経は「戦うか逃げるか」の反応Fight or Flight responseとして知られる、ストレスへの対応機構を担います。

副交感神経系は、身体をリラックスさせ、休息や消化を促進する役割 (Rest and Digest response)を持ちます。これにより、心拍数や血圧が下がり、消化器官の活動が増加します。副交感神経は、「安静・消化・吸収」の反応として知られる、リラックス状態への対応機構を担います。

これらの神経系は、脳の脳幹部に由来する神経細胞から発生し、脊髄から出て体中に広がります。自律神経は、外部からの刺激や体内の状態に応じて自動的に反応し、身体の機能を調節します。例えば、運動中や緊張した状況では交感神経が優位になり、リラックスした状況や食事中では副交感神経が優位になります。

B. 自律神経失調症

自律神経失調症(自律神経機能不全、機能性身体症候群)は、自律神経系のバランスが乱れることによって引き起こされる症候群です。自律神経系は、心臓の動き、血圧、消化器官の動き、体温の調節など、体の自動的な機能を制御する神経系です。この系統の異常は、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。

自律神経失調症の症状

症状は多岐にわたりますが、以下のようなものがあります。

・めまいや失神: 突然のめまいやふらつき、立ちくらみ、または失神があります。これは、血圧の急激な変化や血流の問題に関連していることがあります。

・頻拍や動悸: 心臓の動悸や頻脈感があります。これは、交感神経の過剰な活動に関連していることがあります。

・消化器症状: 胃の不快感、吐き気、下痢、または便秘があります。これは、自律神経系が消化器官の運動を制御する能力が影響を受けるためです。

・体温調節の問題: 寒気や多汗、発熱、または体温の不安定感があります。これは、自律神経系が体温を調節する能力が影響を受けるためです。

・疲労感: 慢性的な疲労感や倦怠感があります。これは、自律神経系の不均衡が体のエネルギー管理に影響を与える可能性があるためです。

自律神経失調症の原因

さまざまな要因が関与していると考えられます。遺伝、ストレス、特定の疾患や感染症、過度の運動、栄養不良などがリスク要因として考えられています。

C. 自律神経の検査方法

自律神経の機能を評価するために、さまざまな検査法があります。主な方法としては以下のものがあります:

心拍変動解析 (HRV): 心拍変動解析は、心臓の拍動間隔の変動を評価し、自律神経系のバランスを推定するための非侵襲的な方法です。この検査では、心電図を記録し、心拍変動を解析します。心拍変動の変化は、交感神経と副交感神経のバランスを反映し、自律神経の活動を評価するのに役立ちます。

血圧変動解析: 血圧の変動を評価することも自律神経の機能を評価する手段の一つです。特に、姿勢変化に伴う血圧の変動(オルソスタティックテスト)や、Valsalva法(呼気圧迫法)などの特殊な試験を用いて、自律神経系の反応を評価することがあります。

ベアリングテスト (Tilt table test): ベアリングテストは、患者を横たわった状態から傾斜したテーブルに乗せ、立位に移行することで起こる反応を評価する検査です。このテストによって、血圧の変動やめまい、失神などの症状を観察し、自律神経系の反応を評価します。

皮膚交感神経反応検査: 皮膚の交感神経反応を評価するために、皮膚表面の温度変化や汗腺の活動を計測することがあります。これは、手のひらや足の裏などの部位で行われます。

呼吸パターン解析: 呼吸パターンの変化を評価することも、自律神経系の機能を評価する手段の一つです。特に、深呼吸や浅い呼吸、または息を止めるなどの方法を用いて、自律神経系の反応を評価します。

これらの検査法は、自律神経系のバランスや活動を評価するための手段であり、症状や疾患に応じて適切な検査が選択されます。

当院では、心血管系の状態を通して自律神経機能を評価し、患者様の問題点を明らかにしていきます。症状の改善策を見つけていくアプローチをとっています。

採血などで問題がないにもかかわらず体調不良が続いている方は、自律神経の機能不全が原因かもしれません。そうした方は、当院の外来受診をご検討ください。

D. 当院自律神経外来の特徴

①最初に患者様の症状詳細の聞き取りを行い、問題点を洗い出す。
②必要があれば、採血やレントゲンなどを行う。
③心臓に問題がある場合には、心拍変動解析を施行し、自律神経機能の可視化を試みる。
④日常生活における自律神経機能を評価し、問題点があれば解決策を講じる。
⑤上記により自律神経機能が整えば、問題の症状が緩和される。

受診希望の方は、下記フォームまたは電話にてご連絡ください。

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