糖尿病とは

糖尿病とはインスリン(膵臓で作られる糖利用に必要なタンパク)作用不足による慢性の高血糖状態を主な症状とする代謝性疾患です。

糖尿病は、①1型(インスリンの絶対的欠乏)、②2型(インスリンの相対的欠乏)、③その他(遺伝や病気等で起こるもの)、④妊娠糖尿病に分類されます。

糖尿病になると、口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感などの特徴的な症状が出現しますが、自覚症状を伴わないこともあります。
また、高血糖状態が続くと網膜症、腎症、神経障害(糖尿病細小血管合併症)や、全身の動脈硬化症(虚血性心疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)を悪化させ、結果的に生活の質が著しく低下することになります。

当院では、糖尿病治療のガイドラインに従い、患者様にふさわしい治療が選択されるよう努めています。糖尿病と診断された方、糖尿病の疑いがある方、糖尿病が心配な方は、お問合せください。

糖尿病を診断するためには、次のデータが必要になります。

・血糖値(空腹時血糖、OGTT 2時間血糖、随時血糖のどれか)
・HbA1c

注:OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験):糖尿病の疑いがある方、家族歴等で発症リスクの高い方、高血圧・脂質異常・肥満など動脈硬化リスクの高い方は、検査が推奨されています。当院では、9時~12時で実施しています。

★血糖値、HbA1cのデータをお持ちの方は、下記で診断が可能です★

Q1
空腹時血糖≧126mg/dL  OGTT 2時間血糖≧200mg/dL  随時血糖≧200mg/dLのいずれかに該当しますか?

糖尿病の治療

外来診療で治療する場合、最も重視すべき指標はHbA1cになります。HbA1cは、過去1-2カ月間の平均血糖値を反映するものです。

血糖コントロール目標(65歳以上は別途規定)
血糖正常化を目指す際の目標:HbA1c 6.0未満
合併症予防のための目標:HbA1c 7.0未満
治療強化が困難な際の目標:HbA1c 8.0未満
その他のコントロール目標
血圧:130/80mmHg未満
血清脂質:LDL 120未満 HDL 40以上 TG 150未満 Non-HDL 150mg/dL未満
目標BMI:[身長(m)]²× 22-25(目標BMI)

食事療法

概要

腹八分目

食品種類↑

動物性脂質(飽和脂肪酸)↓

食物繊維↑

朝昼夕食は規則正しく

ゆっくりかむ

糖質多い食品の間食↓

目標とする食事(kcal))

エネルギー摂取量=目標体重×エネルギー係数

エネルギー係数
軽労作:25-30kcall/kg目標体重

普通労作:30-35kcal/kg目標体重

重労作:30-35kcal/kg目標体重
栄養構成: 炭水化物 40-60%

     タンパク質 20%まで

     脂質 のこり(25%を超える場合は飽和脂肪酸を減らす)
食品交換表を利用

運動療法

短期的な効果

血糖値↓

長期的な効果

インスリン抵抗性改善

減量効果

筋萎縮や骨粗鬆症の予防

高血圧・脂質異常症の改善

心肺機能↑

運動能力↑

気分等QOL↑

(注)基礎疾患等への配慮(メディカルチェックの必要性)
 歩行時間↑などで開始し、以後は継続性が重要

運動の種類

①有酸素運動(歩行、ジョギング、水泳など)

 →インスリン感受性↑

②レジスタンス運動(腹筋、スクワット、腕立てなど)

 →筋力↑ 

③バランス運動(片足立位保持、ステップ練習、体幹バランス運動など)

 →生活の質↑

薬物療法

糖尿病は、①インスリン非依存状態と②インスリン依存状態に大別されます。それぞれに対する治療方針をお示しします。

①インスリン非依存状態(2型糖尿病)

HbA1c≧9.0
運動、食事療法に加え、薬物療法(経口血糖降下薬や、GLP-1受容体作動薬)を考慮する。
コントロール目標達成時には、維持療法へ。

②インスリン依存状態(1型糖尿病、進行した2型糖尿病、2型糖尿病患者の一時的依存状態)

インスリン療法の絶対的適応
・インスリン依存状態
・高血糖性昏睡
・重症肝障害、腎障害合併
・重症感染症、外傷、中等度以上の外科手術 
・糖尿病合併妊婦 
・静脈栄養時の血糖コントロール

インスリン療法の相対的適応
・著明な高血糖(空腹時 250mg/dL以上、随時血糖 350mg/dL以上など) 
・経口薬だけでは良好なコントロールを得られない 
・やせ型で栄養状態低下 
・ステロイド治療時 
・糖毒性を積極的に解除する場合

外来診療では、患者様の状態に合わせて薬物療法が選択されることになります。また、インスリン療法の適応が認められる場合、インスリン注射を使用することがあります。